くしゃみをした瞬間に、ちょっと尿がもれてしまった。

重い荷物を持ち上げたときや、思いきり笑ったときに、ヒヤッとしたことがある。


そんな経験はありませんか?


「出産してから、なんとなく気になるようになった」
「最近、以前よりもトイレが我慢できなくなった」
「運動したいけれど、もれてしまわないか心配」


尿もれは、なかなか人には相談しにくいお悩みのひとつです。

少しのことだからと我慢したり、年齢のせいだから仕方ないと諦めたりしている方もいるかもしれません。


でも、尿もれは決して珍しい症状ではありません。そ

して、原因に合わせた対策や治療によって、改善が期待できる場合もあります。


今回は、女性に多い尿もれの原因や日常生活でできる対策について、漢方の視点も交えながら考えてみましょう。



尿もれにも、いくつかの種類があります


ひとことで「尿もれ」といっても、その起こり方は人によって違います。

特に女性に多いのが、「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」です。


くしゃみや咳で起こる「腹圧性尿失禁」


くしゃみや咳、ジャンプ、重いものを持ち上げるときなど、お腹に力がかかった拍子に尿がもれてしまうタイプです。

これは、膀胱や尿道を支える「骨盤底筋」などの働きが弱くなることが関係しています。


骨盤底筋は、骨盤の底でハンモックのように膀胱や子宮、直腸などを支えている筋肉です。

出産や加齢などによって、この筋肉や周囲の組織の働きが低下すると、お腹に力がかかったときに尿道を十分に支えられず、

尿がもれやすくなることがあります。


急にトイレに行きたくなる「切迫性尿失禁」


もうひとつは、急に強い尿意を感じて、トイレまで間に合わずにもれてしまうタイプです。


「さっきまで平気だったのに、急に我慢できなくなる」

「玄関の鍵を開けた途端、トイレに駆け込みたくなる」


そんな経験がある方もいるかもしれません。

このタイプは、膀胱が過敏になっていることなどが関係しており、過活動膀胱に伴って起こる場合もあります。

また、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方が重なっている方もいます。


尿もれの原因によって、適した対策は異なります。

まずは、自分がどんなときに尿もれをしやすいのかを知ることが大切です。



出産や更年期、年齢の変化も関係する?


女性の尿もれには、妊娠や出産、加齢などが関係することがあります。

妊娠中は大きくなった子宮によって骨盤底に負担がかかり、出産時にも骨盤底筋や周囲の組織が影響を受けることがあります。

そのため、出産をきっかけに尿もれが気になるようになる方もいます。


また、更年期以降は女性ホルモンの変化によって、尿道や膣周囲の組織にも変化が起こります。

加齢による筋肉の働きの低下なども重なり、尿もれが起こりやすくなる場合があります。


ただし、出産経験のない方や若い方にも尿もれは起こります。

そして、出産したから、更年期だからといって、必ず尿もれが起こるわけでもありません。


「年齢のせい」と決めつけず、今の体の状態を知ることが大切です。



漢方では、尿もれをどう考える?


漢方では、尿もれという症状だけを見るのではなく、冷えや疲れやすさ、体力の状態なども含めて、体全体のバランスを考えます。

同じ尿もれでも、冷えが強い方、疲れると症状が気になりやすい方、急な尿意に悩んでいる方など、その背景はさまざまです。


「腎」は、年齢とともに変化する働き


中医学では、「腎」は成長や老化、生殖、水分代謝などに関わる働きを担うと考えられています。

ここでいう「腎」は、西洋医学でいう腎臓そのものとは異なる概念です。


年齢を重ねることで「腎」の働きが衰えると考え、排尿に関する悩みや足腰の弱り、冷えなどを、

体質を見極める手がかりにすることがあります。


「気」の働きにも注目します


中医学でいう「気」は、体を動かすエネルギーであるとともに、体の機能を支え、

必要なものをとどめておく働きにも関わると考えられています。


例えば、疲れやすい、気力がわかない、体がだるいといった症状と尿もれが重なっている場合には、

「気」の不足という視点から体質を考えることもあります。


ただし、尿もれがあるからといって、必ず「腎」や「気」が不足しているわけではありません。

また、漢方薬だけで骨盤底筋の働きや膀胱の問題を改善できるとは限りません。


尿もれの種類や原因を確認したうえで、その人の体質に合った方法を考えることが大切です。



尿もれが気になるとき、今日からできること


尿もれへの対策は、症状の種類によって異なりますが、日常生活の中で取り組めることもあります。


① 骨盤底筋を意識してみる


特に腹圧性尿失禁では、骨盤底筋トレーニングが改善につながることがあります。

骨盤底筋は、尿道や肛門の周囲を締めるように意識する筋肉です。

まずは、次のような方法を試してみましょう。


  1. 椅子に座るか、仰向けになってリラックスする

  2. 息を止めずに、尿道と肛門をきゅっと締めて持ち上げるように意識する

  3. 数秒間保ったら、ゆっくり力を抜く

  4. 無理のない回数から繰り返す


お腹やお尻に必要以上に力を入れず、呼吸を続けながら行うのがポイントです。


ただし、正しく筋肉を動かすのは意外と難しいもの。

うまくできているかわからない場合や、続けても改善が見られない場合は、医療機関で指導を受けることもできます。

なお、排尿中に何度も尿を止める方法は、普段のトレーニングとしてはおすすめできません。


② 便秘をためこまない


便秘で強くいきむ習慣は、骨盤底に負担をかけることがあります。

食物繊維を含む食事や適切な水分摂取、無理のない運動などを心がけ、便秘を繰り返している場合は、その対策も考えてみましょう。

漢方でも、排尿だけでなく、便通や胃腸の状態などを含めて体全体を見ていきます。


③ 水分を極端に控えない


尿もれが心配になると、水分を取るのを控えたくなるかもしれません。

でも、水分を極端に減らすと、脱水や便秘などにつながることがあります。

必要な水分は適切に取りながら、カフェインやアルコールなど、尿意に影響することがある飲み物の量やタイミングを見直してみましょう。


④ 我慢せず、医療機関に相談する


尿もれには、骨盤底筋トレーニングのほかにも、薬による治療や手術など、症状に応じた治療法があります。

特に、急に強い尿意を感じるタイプでは、膀胱の働きに対する治療が必要な場合もあります。


尿もれが続いている、外出や運動を控えるようになった、生活に支障が出ているという場合は、

泌尿器科や女性泌尿器科などで相談してみてください。


また、血尿や排尿時の痛み、発熱などを伴う場合や、急に尿が出にくくなった場合は、早めの受診が必要です。



「これくらい仕方ない」と、我慢していませんか?


尿もれは、命に関わるような症状ではないことも多いため、つい後回しにしてしまいがちです。

でも、尿もれが心配で外出をためらったり、好きな運動を諦めたり、いつもトイレの場所を気にして過ごしたりするのは、

決して小さなことではありません。


「出産したから仕方ない」
「もう若くないから、こんなもの」


そんなふうに諦めてしまう前に、今の体の状態を見つめ直してみませんか?

漢方なでしこでは、目の前の症状だけでなく、冷えや疲れ、睡眠、胃腸の状態なども含めて、お一人おひとりのお話を伺っています。


もちろん、尿もれの種類や原因に応じて、医療機関での検査や治療を受けることも大切です。

西洋医学と漢方、それぞれのよさを活かしながら、今の自分に合った方法を考えていけたらと思います。


尿もれを気にせず、笑ったり、出かけたり、好きなことを楽しんだり。

そんな毎日を、年齢のせいと諦めないでほしいのです。


「これくらい大丈夫」と我慢する前に、自分の体の声に耳を傾けてみませんか?


美容室2

漢方なでしこのこだわり
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    症状だけを見るのではなく、その背景にある体質や生活習慣、ストレスなど、一人ひとりの悩みと深く向き合います。じっくりと対話を重ねることで、不調の根本原因を明確にし、心と体のバランスを整える最適な提案を行います。

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Message 薬剤師/臨床漢方カウンセラー 山根 生子


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