「最近、シャンプーのときに髪がたくさん抜ける気がする」
「朝起きると、枕に髪の毛が増えている」
「夏の終わりから秋にかけて、急に抜け毛が気になり始めた」


そんな変化を感じていませんか?

秋になると、抜け毛が増えたように感じる方は少なくありません。

もちろん、髪には自然な生え変わりのサイクルがあるため、ある程度の抜け毛は誰にでも起こります。


ただし、季節の変わり目に抜け毛が目立つときは、単に「秋だから仕方ない」というだけでなく、

夏の間に受けたダメージや、体の疲れが関係していることもあります。


今回は、秋の抜け毛について、漢方の考え方を交えながらお話しします。



秋に抜け毛が増えたように感じる理由


秋は、夏から冬へ向かう途中の季節です。

気温や湿度が変化し、朝晩の寒暖差も大きくなります。

体はその変化に対応しようとするため、知らず知らずのうちに負担がかかります。


さらに、夏の間には次のようなことが重なりがちです。


  • 強い紫外線を浴びた
  • 汗をたくさんかいた
  • 冷房の効いた室内で長時間過ごした
  • 冷たい飲み物や食べ物が増えた
  • 睡眠不足が続いた
  • 食欲が落ちたり、食事が簡単になった
  • 夏休みや仕事の忙しさで生活リズムが乱れた
  • 暑さで体力を消耗した

髪の毛は、体にとって「今すぐ必要なもの」ではありません。

そのため、体が疲れていたり、栄養や血液が十分に行き渡っていなかったりすると、

生命維持に直接関係する部分が優先され、髪や爪などへの栄養が後回しになることがあります。


夏の間はなんとか頑張れていても、秋になって少し涼しくなったころに、疲れやダメージが表面化する。

それが「秋になってから抜け毛が増えた」と感じる一つの理由かもしれません。



漢方では「髪は血の余り」と考えます


漢方では、髪の毛を「血(けつ)の余り」と表現することがあります。

ここでいう「血」は、西洋医学でいう血液とまったく同じ意味ではありません。

全身に栄養を届け、体をうるおし、髪や肌、爪などを健やかに保つ働きを含んだ概念です。


つまり、髪が健やかに育つためには、


  • 十分な栄養があること
  • 血がしっかり作られること
  • 全身に血が巡っていること
  • 体が必要なものを受け取れる状態であること

が大切だと考えます。


無理なダイエットや食事量の不足、月経による血の消耗、睡眠不足、慢性的な疲労などが続くと、

髪にまで十分な栄養が届きにくくなることがあります。


「髪のために何かを足す」だけでなく、まずは髪を育てられる体の土台が整っているかを考えることが大切です。



秋の抜け毛に関係しやすい体質


抜け毛の原因は一つではありませんが、漢方では体質によって考え方が変わります。


1.血が不足しやすい「血虚」タイプ


血虚は、髪や肌に必要な栄養が不足しやすい状態です。

こんな方は、血虚が関係している可能性があります。


  • 髪が細くなってきた
  • 抜け毛だけでなく、髪がパサつく
  • 肌が乾燥しやすい
  • 爪が割れやすい
  • 顔色が pale に見える、血色がよくない
  • 目が疲れやすい
  • 立ちくらみがある
  • 月経の量が少ない、または周期が乱れやすい
  • 睡眠が浅い
  • 乾燥肌やかゆみが気になる

特に、食事を軽く済ませることが多い方や、月経のある女性は、血の不足が起こりやすいと考えられます。


2.生命力や成長を支える「腎」が弱っているタイプ


漢方では「髪は腎の華」ともいわれ、髪は「腎」と深い関係があると考えます。

腎は、成長・発育・老化・生殖など、生命の土台に関わる働きを担うとされます。

腎の力が弱っている場合には、


  • 髪にコシがなくなった
  • 白髪が増えた
  • 髪が細くなった
  • 抜け毛が長く続いている
  • 腰や膝がだるい
  • 足腰が冷えやすい
  • 疲れがなかなか取れない
  • 耳鳴りが気になる
  • 夜中に何度も目が覚める

といった変化が一緒に見られることがあります。

年齢による変化だけでなく、過労や睡眠不足、長期間の体力消耗などでも、腎の力は弱りやすいと考えられています。


3.夏の疲れが残っている「気虚」タイプ


夏の暑さで体力を消耗したまま、秋を迎えている方もいます。

気虚は、体を動かすエネルギーが不足している状態です。


  • 朝から疲れている
  • 少し動くだけでだるい
  • 食欲があまりない
  • 声に力が出ない
  • 風邪をひきやすい
  • 髪だけでなく、全身の元気がない
  • 休んでも疲れが取れにくい

このような場合は、髪だけをケアするよりも、まず体力を回復させることが優先されるかもしれません。



髪のために、秋から意識したいこと


まずは「食べること」を大切にする


髪を育てるためには、材料となる栄養が必要です。

忙しいと、パンだけ、麺だけ、おにぎりだけ、といった食事になりがちですが、

できる範囲で次のような食品を取り入れてみましょう。


  • 肉や魚
  • 大豆製品
  • 黒ごま
  • ひじきや海藻類
  • にんじん、ほうれん草などの色の濃い野菜
  • 牡蠣や貝類
  • ナッツ類
  • 黒豆や黒きくらげ

ただし、「髪にいい食材」ばかりを単独で食べればよいわけではありません。

主食・主菜・副菜をそろえ、まずは体全体がきちんと栄養を受け取れる食事を心がけましょう。


夏の冷えをそのままにしない


夏は冷たい飲み物や食べ物、冷房などで、思っている以上に体が冷えていることがあります。

冷えは血の巡りや胃腸の働きにも影響します。

秋になったら、


  • 飲み物を少しずつ常温や温かいものへ
  • お腹や腰を冷やさない
  • シャワーだけでなく湯船につかる
  • 冷たいものを一度にたくさん摂らない
  • 足首や首元を冷やさない

など、体を内側から冷やしすぎない工夫をしてみましょう。


睡眠を削らない


髪や肌の変化が気になると、ついヘアケア用品やサプリメントを探したくなります。

もちろん外側からのケアも大切ですが、睡眠不足が続いていると、体の修復や回復が十分に行われません。

特に秋は、夏の疲れをリセットする時期でもあります。


夜更かしを続けるよりも、少し早めに眠ること。
寝る直前までスマートフォンを見続けないこと。
毎日同じくらいの時間に眠ること。


こうした基本的な養生が、髪の土台づくりにもつながります。


頭皮をやさしく扱う


抜け毛が気になると、頭皮を強くマッサージしたり、何度も洗ったりしたくなるかもしれません。

しかし、強い刺激や洗いすぎは、頭皮への負担になることもあります。


  • 洗浄力が強すぎないシャンプーを選ぶ
  • 爪を立てず、指の腹で洗う
  • すすぎを丁寧にする
  • 髪を濡れたまま長時間放置しない
  • ドライヤーを近づけすぎない
  • 頭皮が乾燥している場合は保湿も考える

「清潔にすること」と「取りすぎないこと」のバランスが大切です。



抜け毛は、髪だけの問題ではないかもしれません


秋の抜け毛が気になると、どうしても髪や頭皮だけに目が向きます。

けれども、


「最近、疲れやすくなった」
「食欲が落ちている」
「月経の後にぐったりする」
「眠りが浅い」
「冷えや乾燥も気になる」
「肌や爪にも変化がある」


という場合は、髪だけでなく、体全体のバランスが変化しているサインかもしれません。

漢方では、一つの症状だけを見るのではなく、体質や生活リズム、季節、年齢、心身の状態などを合わせて考えます。

抜け毛をきっかけに、


「最近、ちゃんと食べられているかな」
「休む時間を取れているかな」
「夏の疲れをそのままにしていないかな」


と、自分の体を振り返ってみるのもよいでしょう。



こんなときは医療機関への相談も大切です


季節による一時的な抜け毛もありますが、次のような場合は、皮膚科などの医療機関に相談しましょう。


  • 急に大量の髪が抜け始めた
  • 円形に髪が抜けている
  • 頭皮に赤みや強いかゆみ、痛みがある
  • 抜け毛が長期間続いている
  • 髪の変化だけでなく、強い疲労感や体重減少などがある
  • 眉毛やまつ毛などにも脱毛が見られる

抜け毛には、ホルモンバランス、甲状腺の病気、貧血、皮膚の病気などが関係する場合もあります。

「季節のせいだろう」と決めつけず、気になる変化は早めに確認することが大切です。



鳥取で、抜け毛や髪の変化を漢方の視点から考えたい方へ


髪の変化は、年齢や季節だけでなく、体の内側の状態を映していることがあります。

漢方なでしこでは、抜け毛だけを見るのではなく、


  • 睡眠の状態
  • 食欲や胃腸の働き
  • 月経の状態
  • 冷えや疲れ
  • 肌や爪の変化
  • 生活リズム
  • 体質やこれまでの経過

などを丁寧に伺いながら、その方の体に合った整え方を一緒に考えています。


「最近、髪が抜けるようになったけれど、何から見直せばいいかわからない」
「美容のことだけでなく、体全体を整えたい」
「年齢のせいとあきらめたくない」


そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。

髪をきっかけに、自分の体の声に耳を傾けてみませんか。


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Message 薬剤師/臨床漢方カウンセラー 山根 生子


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